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執筆者の写真Hisashi Tomibe

人生の秋(62)

更新日:10月4日

                渋谷の夕景              *合成写真ではありません


 何もかもが記録ずくめだった今年の猛暑もようやく収まり、秋の穏やかな気配が感じられるようになってきました。ただ、能登地方などを襲った豪雨は、震災に追い打ちをかけるような深い爪痕を残し、そこで暮らす人々の生活に甚大な被害を及ぼしています。そして、世界に目を向けると、地球のあちらこちらで戦争が起こっていて、地球全体が、季節で言えば秋、それも厳しい冬を迎えようとする晩秋になってしまったような気がします。

 一方、自費出版した『人生の花火』ですが、8月の暑いさなかに三週連続で一棚(ひとたな)棚主の書店で一日店長となったり、下北沢のフェスティバルに参加したりして販促を努めましたが、一冊も売れずに意気消沈しました。出版後三年以上が経ち、ここ一年は地を這うような売れ行きになっています。こちらも季節は晩秋と言えるでしょう。

 また、来年は古希を迎えることになり、精神と肉体の衰えをひしひしと感じることがあります。特に残念なのが記憶力。パソコンで何かを検索しようと思ってGOOGLEをクリックしても、検索画面が出てくる僅かの時間のあいだに別の事を考えてしまい、そのあと何を検索しようと思っていたのか忘れてしまう事が多々あります。これでは三歩歩いたら忘れるニワトリと同じです。

 そんな私ですが、日頃毎週のように参加している≪私塾レコダ l’ecoda≫が、毎月更新しているWEB誌の「事務局ごよみ」において、小文を書かせて頂きました。上の長い前置きに続く文章としてお読み頂ければ幸いです。池田塾頭や大島先生の文章は別格として、私の文章より遥かに素晴らしい文章もそこかしこにありますので、そちらの方にも是非とも目を向けて頂ければと思います。なお、小林秀雄に直接学んだわけでもないのに小林先生と呼ぶのは、この私塾の慣習ともなっていること、ご理解ください。


 ところで冒頭の写真は9月22日に渋谷のハチ公前から眺められた光景です。駅を出たら、紅葉の映像と共に鮮やかな夕焼けが見え、おまけに後光まで差していたので、一瞬、ついにお迎えが来たのかと思いましたが、人違いのようでした。下の写真は同じ時に撮影したものです。


 夕焼けと言えば、写真に残っている中で一番印象的だったのが下の光景です。今から十年前、場所は浅草、ちょうど仕事が終わったところで、アサヒビールだったかどうかは忘れてしまいましたが、このあと一杯やったビールが格別うまかったのは言うまでもありません。


 やがては訪れる永遠の冬を恐れず、たまに出会うことのある束の間の輝きを、この先もいくつか経験していければと思います。

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